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今回の話題は、9月9日は重陽の節句 菊の被綿（きせわた）についてです。
五節句の内のひとつ「重陽の節句」で、人日（1/7・七草の節句）、上巳（3/3桃の節句ひなまつり）、端午（5/5菖蒲の節句）、七夕（7/7笹の節句たなばた）、重陽（9/9菊の節句）で年内最後の節句です。
9という数字は「陽数」の最大であり、それが重なる9月9日は特別におめでたい日とされました。別名「菊の節句」とも呼ばれます。
●日本での習わし（※地域によって異なります）
現在はあまり一般的に祝う家庭は少なくなりましたが、伝統的には以下のような風習があります。
1.菊を愛でる
菊は長寿を象徴する花。
菊の花を飾ったり、観賞する行事（「菊見」）が行われました。
2.菊酒をいただく
菊の花びらを浮かべたお酒を飲み、邪気を祓い、長寿を願いました。
3.栗ご飯・秋の収穫を祝う
ちょうど新栗の季節で、「栗の節句」とも呼ばれる地域があります。
栗ご飯や秋の食材を用いた料理を食べて祝いました。
4.菊の被綿（きせわた）
菊の花に真綿をかぶせて一晩おき、朝露と菊の香りを移した綿で体を拭くことで、無病長寿を祈る風習がありました。
重陽の節句は長寿と無病息災を願う日です。
●現代でできる楽しみ方の一例（※地域によって異なる）
菊の花を一輪飾る。
栗ご飯や秋の味覚（きのこ、サツマイモ、梨など）を食卓に取り入れる。
お酒に菊の花びらを浮かべて「菊酒」として楽しむ。
今日は栗ご飯や菊を飾って、季節を感じるのも良いですね。
今年は、重陽の節句に行われた「菊の被綿（きせわた）」について深堀したいと思います。
●起源
中国の故事に由来します。菊は「延命長寿の花」とされ、菊に露を含ませてその力をいただくと、老いを防ぐと信じられていました。
●平安時代に伝来
日本には奈良～平安時代にかけて伝わり、宮中の「重陽の宴」で取り入れられるようになりました。
●方法
9月8日の夜、菊の花の上に真綿をのせて一晩おきます。翌朝、その綿には菊の香りと夜露がしみこんでいます。その綿で体を拭いたり、顔に当てたりして、邪気を払い、長寿を願いました。
●被綿（きせわた）に使われる「五色の綿」
当時の宮中では、特に紅・黄・青・白・黒の五色の真綿が使われました。
五色は「陰陽五行」を象徴し、魔除けと長寿祈願の意味が込められています。
菊の白や黄色に五色の綿を重ねることで、見た目も非常に美しく、風雅なものだったと記録されています。
●文学・歴史に見る被綿（きせわた）
『枕草子』や『源氏物語』にも、菊の節句や菊にまつわる場面が登場します。
特に『源氏物語・玉鬘』には、菊の露に長寿を託す表現があり、宮中行事としての「菊の被綿」の雅やかさが感じられます。
●現代の「被綿（きせわた）」
現代では一般家庭で行われることはほとんどありません。
ただし、京都の神社や寺院、または茶道の重陽の茶会などで再現されることがあります。
真綿に菊の香りを移すという行為自体が「無病息災」だけでなく、自然の力をいただきつつ四季を楽しむ日本人の美意識を感じさせます。
「菊の被綿（きせわた）」は菊の露と香りを真綿に移す → 身体に触れることで 長寿・無病息災を願う。
菊の被綿（きせわた）は、長寿を祈ると同時に、季節を愛でる心を表した平安の雅な風習です。菊の香りと露を綿に移し、それを身に受けるという所作には、自然と共に生きる日本人らしい繊細な感性が込められているように思います。私たちも重陽の節句の日に菊を一輪飾るだけで、平安の人々が大切にした「美と祈りの文化」に少し触れることができるかもしれません。
にほんあいBLOGを通して日本への理解が深まることを願っています。
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